注目の歯科矯正『インビザライン』って? 費用は?


日々世界的に着々と進化している矯正歯科や審美歯科。今や歯並びを整える強制も、歯の着色を抜くホワイトニングも、最新技術で快適に受けられます。

特に歯科矯正においては、これまでの様々なリスクやデメリットを大幅に改善する「裏側矯正」や『インビザライン』という治療法が登場し、こうした新時代の矯正方法が主になりつつあるクリニックもあるというではありませんか。

裏側矯正というのは、従来の歯科矯正装置を歯の表面ではなく、裏面に装着する矯正方法。基本的にはブラケットを使ったワイヤー矯正の一種ですが、人目に殆ど付かないという大きなメリットがあります。

そもそも歯科矯正治療は肉体的にも精神的にも決して負担の軽くない施術。実際、矯正経験を持つ多くの人が、治療期間中はつらい事が多かったと言います。それでも、終わりよければ全てよしという事で、それなりの結果が得られたから満足しているといったところです。

それもそのはず、歯列矯正は平均で2年半、長くなれば3年以上という年月を必要とし、その間ずっと装置を付けていなければなりません。日常生活における不自由さはもちろん、人付き合いの面でも時に支障を来す事があるでしょう。

しかし、裏側矯正なら、ぱっと見、矯正している事が分かりません。人前でも普通に大口を開けて笑う事が出来ます。愛想が悪いとか、むっつりしていて可愛くないとかと言われる心配もなく、人に不快感を与える心配もないのです。

ただし、裏側矯正は矯正器具を歯の後ろ側、即ち、舌側に装着する事になります。そのため、飲食や会話がしにくくなるリスクは否めません。さらに、裏側矯正には高度な技術が必須で、腕のいい歯科医師でなければ出来ないというデメリットがあります。

そして何より、そうした高度な矯正方法だけに、治療費は間違いなく高価。上下ともに裏側矯正でとなると、100万円を超える事もしばしばです。この高額な費用こそが、裏側矯正の最大のデメリットであると言って過言ではないでしょう。

そうした裏側矯正のリスクやデメリットを克服した矯正治療、それがインビザラインです。インビザラインは、従来のような大がかりなブラケットを使用するのではなく、マウスピースを使用します。正式には「マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置」と呼ばれる矯正装置で、別名“マウスピース矯正治療”や“マウスピース型矯正治療法”、“マウスピース歯列矯正治療”などと呼ばれる事もある新時代の歯列矯正です。

矯正歯科装置をはめるのは歯の表側ですが、極めて薄く透明なマウスピースなので、ほぼ100%他人には見抜けません。また、多少の締め付け感はあるものの、慣れれば殆ど違和感もないものと思われます。

しかも、このマウスピース型矯正装置は、どうしても邪魔になれば自分で取り外す事も可能。おかげで、通常の歯磨きが出来ますから、治療期間中の虫歯や歯周病のリスクが大幅に軽減出来るなど、様々なメリットを持っています。ただし、それなりの費用がかかるのが大きなデメリットです。上下全ての歯を矯正するには70万円から100万円程度かかります。

とは言っても、高度な技術を売りにしている矯正歯科クリニックでは、裏側矯正と大差がないか、若干安い料金設定になっているところも少なくありません。また、前歯だけを整える部分矯正なら、全体矯正の半額以下という歯科医院が大半です。

さらに、歯科矯正は医療費控除の対象になっていますから、確定申告する事で税金の還付が受けられます。加えて、一度にまとまったお金が用意出来なくても、デンタルローンのような分割払いで支払う事も可能なのです。確かに費用面での心配は拭えませんが、それ以上に、これからの時代、真っ先に検討したい矯正治療法だと言えるのではないでしょうか? という事で、今日はそんなインビザラインについて詳しく見て行きたいと思います。

費用も含め、インビザラインとワイヤー矯正の違いは?


まずは、インビザライン矯正と従来のワイヤー矯正との違いを見て行きましょう。実際問題として、ワイヤー矯正について自体、実はよく分からないという方は少なくないものと思われます。でも、大丈夫。世の中そういうものです。という事で、ワイヤー矯正とはというお話からしましょう。

ワイヤー矯正は、少なくとも日本では今でも最もオーソドックスな矯正治療法だと言えるでしょう。そのため、“普通矯正”とも呼ばれています。歯の表面に「ブラケット」という小さな金属板を貼り付け、アーチ状のワイヤーで固定し、歯を動かす方法です。

しかしながら、矯正歯科を受診する人の多くは、一本一本の歯がかなり向きや角度の違う状態で生えています。そのため、凹凸があったり、重なっていたり、完全に折れ曲がった歯があったりとバラバラ。だからこそ、矯正して綺麗な歯並びにしたい訳です。

そこで、そうした個々の歯の凹凸や傾きに併せてワイヤーを巧みに張って行く必要があります。これは実に手間のかかる作業で、技量も必須となりますから、歯科医の腕の見せ所です。

しかし、昨今は矯正装置の進化が著しく、形状記憶機能を持つブラケットとワイヤーで治療出来るようになりました。また、出来るだけ目立たないセラミック素材や人工サファイアのブラケットや白色系のワイヤーもあります。

そして何より、コスパは抜群で、最も効果の高い矯正術です。ほぼ予定通りの期間で予定通りの歯列矯正が出来ます。とは言え、基本的にワイヤーはメタリック、ロボットの歯のように見える金属です。どうしてもと言えば、見栄えのいいホワイトバイヤーを使用してくれる院もありますが、その正体は白くコーティングした針金。コーティング治療と呼ばれる実に単純な手法で、いつ色落ちしても不思議ではないリスクを秘めています。さらに、ホワイトワイヤーやセラミック製のブラケットを使用すれば、その分、間違いなく料金アップです。

けれど、安価な金属製のワイヤーとブラケットでも、歯の裏側に装着すれば人目を避ける事が出来ます。という事で、なるべく目立たないように矯正治療をしたいという人のために編み出されたのが裏側矯正という訳です。

しかしながら、歯の裏面に装置を装着するという事は、施術中の患者の負担はかなり大きくなります。歯科医としても表側に装着するより手間がかかりますから、たとえ装置料はお手頃価格でも、最も料金の高い矯正治療となってしまうのです。

さらに、裏側矯正は目立ちにくいのだけが取り柄という感じで、飲食や歯磨きがしにくいのは表側矯正と同等です。加えて、表側矯正では頬や唇に違和感があり、口内炎が出来る人も多いですが、裏側矯正だって負けず劣らず。矯正器具が舌の動きを妨げ、飲食だけでなく、話がしにくくなったりもします。

それに対してインビザライン矯正は、ブラケットもワイヤーも一切使いませんし、原則として、抜歯矯正ではないので、歯を抜く事もしません。マウスピース状の装置を歯にはめ込んで行くだけです。

しかも、この矯正器具は、患者さんが自分自身で驚くほど簡単に脱着出来るもの。医師の手間が大幅に軽減される矯正法で、裏側矯正に比べて安価です。メタリックの表側ワイヤー矯正が60万なら、裏側矯正が90万、インビザラインが80万と言ったところでしょうか。

ただ、インビザラインは医師の手間がかからない分、自分自身の手間がかかります。セルフケアがしっかり出来ないと、いつまでたっても綺麗な歯並びを手に入れる事の難しい治療法とも言え、そのメリット・デメリットをしっかり把握して選択する必要があるでしょう。

費用はさておき、インビザラインって、どんな矯正治療なの?


インビザライン矯正について、やはり最も気になるのは費用でしょう。しかしながら、治療内容が分からなければ、選択肢にすら入れる事が出来ません。選択肢にない治療の治療費を知る必要もないという事で、まずはインビザラインについて、どのような歯科矯正なのか、改めて見てみましょう。

インビザラインは、マウスピース型カスタムメイド矯正装置と呼ばれる器具を歯に装着し、少しずつ動かして行きます。今から20年ほど前の1997年にアメリカで開発された矯正治療法で、欧米では今や非常にオーソドックスな矯正歯科の施術です。

それまでにもマウスピースを使った歯の矯正というのはあるにはありましたが、この治療で使うマウスピースはそんじゃそこいらのマウスピースではありません。患者さん一人一人の3Dデータをもとに作成された完全オーダーメイドのマウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置です。装着すると、約2週間で約0.25ミリずつ歯を移動させる事が出来ます。

そこで、2週間ごとに装置を交換し、2年から3年程度かけて綺麗な歯列を形成して行く治療法です。治療期間はワイヤー矯正と殆ど大差がありませんが、マウスピース型装置は極めて薄く透明になっているため、邪魔になるという事もなく、口元の外観を損なう事もありません。つまり、治療期間中も自他ともに違和感のない快適な日々を過ごせるのです。

また、歯茎や骨格への負担も軽く、幅広い症例に対応出来る長所も持っています。加えて、インビザラインで使用するマウスピース型矯正装置は脱着自由。患者自身が飲食時や洗顔時に自由に取り外す事が出来ます。という事は、デートの時でも安心という訳です。

実際問題、見た目は分からなくても、いざキスシーンになると裏側矯正ではごまかしが利きません。舌を歯の後ろまで入れられれば、一瞬にして気付かれてしまいます。けれど、インビザラインなら、マウスピースを外す事が出来ますから、最後の最後まで矯正中である事を隠し通す事も可能でしょう。

ですが、一番のメリットは衛生面です。飲食時や洗顔時に装置を外す事により、食べかすの付着や飲料による着色を防止出来ます。そして、隅々まで綺麗に歯磨き出来ますから、虫歯や歯周病のリスクを大幅に軽減出来るのです。

さらに、マウスピース型装置自体、歯ブラシで磨き、水で洗浄するというケアが可能。潔癖症の方でもストレスなく治療を続けられます。事実、ワイヤーで装置を固定する従来の方法だと、容易に動かす事が出来ず、また、勝手に動かすと後々やっかいな事になります。

益々治療の進行が遅れ、通院の回数が増えたり期間が延びるため、どんなに不自由で不快でも、現状維持を常に心がけながら日常生活を送る必要がありました。結果、食べ物の滓が歯と装置の間に残るにもかかわらず、十分な歯磨きが出来ず、虫歯や歯周病を発症してしまったという経験をお持ちの方は少なくないでしょう。

あるいは、強いストレスを感じる人も多かった訳ですが、インビザライン矯正では、そうした不安や不満を持つ人は殆どいません。痛みも少なく、誰でもが快適な矯正治療を出来る画期的な施術なのです。

最も気になるインビザラインの治療の流れと費用


それでは、ここでインビザラインの治療の流れと、それぞれの費用を見てみましょう。

ステップ1,カウンセリング

どんな矯正治療も、初めの一歩はカウンセリングからという事で、“初診相談”や“矯正相談”と呼んでいる歯科も沢山あります。事前に記入した問診票やアンケート用紙をもとに、専門医が面談し、口の中の状態や歯と歯茎の状態を診療するのが一般的です。最終的には大まかな治療計画を立て、費用まで聞く事が出来ます。所要時間は30分前後です。

ステップ2,検査

カウンセリングでは、あくまでもインビザラインは一つの選択肢。本当にそれが最も適した矯正法なのか? また、それ以前に、インビザライン矯正が可能かどうかが明確ではありません。そこで、高性能なレントゲン機器で歯と歯茎だけでなく、顔面画像も撮影し、さらに、虫歯や歯周病などがないかを調べる組織検査、現状の噛み合わせを確認する咬合検査など、いくつかの精密検査が実施されます。所要時間は40分前後です。

ステップ3,歯の治療

レントゲンを使った精密検査で虫歯や歯周病が発覚した場合には、まず、その治療をします。また、親知らずが邪魔になると判断されれば、抜歯をすすめられます。

ステップ4,歯のクリーニング

歯垢や歯石が蓄積していると、ほどなく虫歯や歯周病を発症する可能性があり、今後の治療計画に横やりを入れかねません。そこで、まず最初に「オフィスクリーニング」と呼ばれる本格的な歯の洗浄が行われます。所要時間は40分前後です。

ステップ5,マウスピース型カスタムメイド矯正装置の作成

矯正装置の作成と言っても、その場で作る訳ではありません。歯科の先生が作るのは、歯形のデータのみ。3Dプリンターなどで撮影したこのデータをもとに、専門機関で診断模型が作られ、それにフィットするマウスピース型矯正装置が製造されます。という事で、歯科医院などでデータを作成するのみの時間は、診察も含め、40分前後でしょう。

ステップ6,マウスピース型カスタムメイド矯正装置の装着

マウスピース型矯正装置が出来上がったら歯科医院で装着し、本格的な治療開始です。その後、月に1回のペースで通院し、機器の交換と経過観察が行われます。1回の受診時間は30分前後です。

ステップ7,アフターケア

全てのマウスピースの装着が終了すると、今度は「リテーナー」と呼ばれる保定装置を装着し、新たな歯並びを固定させます。装着期間は1年から2年程度。3ヶ月に1度くらいのペースで機器の調整と経過観察のための定期検診が必須となります。受診時間は30分前後です。

という事で、インビザラインの費用は、装置料プラス、上記の全ての診察と検査の料金という事になります。当然ですが、最も高価なのはマウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置の料金ですが、最初の診察と検査だけでも5万円前後。また、最後のリテーナーが1万円に、通院時の診察料が5,000円と、細かな出費も確実に付帯して来ます。

しかしながら、インビザライン治療は最初にまとめてマウスピースを制作し、それを順々に装着して行くのみ。改めて装置を作ったり、微調整したりという事は基本的にありません。そこで、トータルで70万とか80万と設定し、一括払いや分割払い、さらに、ローンやクレジットカードでの支払いを受け付けている医療機関が大半です。そういう意味では、最も治療期間・治療費用ともに安定した矯正方法だと言えるでしょう。

費用面も含めたインビザラインのデメリット、気をつけないと治療計画が狂うかも


ここ四半世紀ほどで著しく進化している歯科治療の世界。インビザラインは、そんな新時代の歯科矯正の代表格と言って過言ではないでしょう。しかも、当初は難しいとされていた前歯のみの部分矯正も今では可能です。ただし、決していい事づくしという訳ではありません。しっかりと自己管理の出来ない人には、いささか厄介な矯正法です。

というのも、最初に作られる治療計画では多くの場合、1日20時間以上マウスピース型の装置を装着し、2週間に一度のペースで新しいものに交換するというお約束があります。逆に言えば、1日4時間は取り外しが可能な訳ですが、それを飲食時に充て、食事が終わったら綺麗に歯磨きして再び装着するというのが理想です。

しかしながら、酔っ払ってそのまま朝まで寝てしまうという事も大いにあり得る訳で、そうなると、1日分どころか、2日分の装着時間が大幅に減少してしまいます。すると、それだけ歯の移動に遅れが生じ、積み重なって行くと、段々治療期間が延びて行ってしまうのです。

また、夏の暑い時季はこまめな水分補給が必須となりますが、歩きながらいちいち器具を外す訳には行きません。けれど、お茶やコーヒー・コーラなど、色の濃い飲料を飲むと、マウスピースが着色してしまいます。

特にハロウィンパーティーの時以外は、トマトジュースや赤ワインなどは厳禁。たちまちドラキュラの歯になって周囲を驚かす羽目になるでしょう。ですので、装着中はなるべくミネラルウォーターや透明なフレーバーウォーターなど、色の薄い飲料を飲む必要があります。不意にカフェに入る事になった時などは、ちょっと困るかもです。

という事で、大きな事から細かな事まで、中々自己管理の大変なインビザライン。さらに、費用面ではさらなる注意点が多数あります。上記のステップ1から7までのうち、どれとどれが組み込まれた価格になっているのか、それを事前に確認する事は必須です。

特にステップ3の事前治療については、不要な人も多いですから、基本的に別料金。もし、親知らずを抜く場合は、診療時に支払う必要があります。抜歯は基本的に健康保険が使えますから3割負担ですが、麻酔を使った本格的な手術となるため、安くても5,000円前後になるかと思われます。

また、ステップ7のアフターケアについては、その装置料も定期検診の費用も全て対象外となっているところが少なくありません。加えて、最初のカウンセリングについても、相談だけなら完全無料としているところもあれば、いえいえ、初診としてしっかりお金をいただきますというところもあります。

そうかと思えば、矯正相談と精密検査をワンセットとしているところもあって、相談したら最後、否が応にも検査までは受けなくてはならない。検査を受けたら自然と治療計画が立てられ、矯正する羽目になるという事もまれですがありますので、十分気をつける必要があるでしょう。

取り分け、デンタルローンを組んで矯正する場合は、後から追加でお金を工面するのは非常に困難です。最初に医師と十分に話し合い、念入りな治療計画と予算案を立てて手続きする必要があります。

デンタルローンというのは、歯科医療費専用の金融商品。インプラントや歯列矯正など、保険の利かない高度な歯科治療に必要なお金を貸してくれるというもので、信販会社やローン会社、銀行からも売り出されています。

ただ、ローンですから、必ず審査があって、たとえ申し込み資格は満たしていても、それだけで使えるというものではありません。また、商品によっては、治療を受けられる医療機関が限られている事もありますので、この点も注意すべきでしょう。

さらに、日本はインビザライン矯正においては明らかな後進国で、先進国であるアメリカが強く権限を握っているという事も忘れてならない点です。実はこのマウスピース型カスタムメイド矯正装置、日本ではまだ厚生労働省の認可の降りていない医療器具なのです。そのため、今はその大半がアメリカの「アラインテクノロジー社」という専門業者で制作されています。都度、海の向こうから運ばれて来るのです。

そこで、上記のステップ1から4までは比較的短期間にスムースに進むのですが、ステップ4のデータ作成後、実際に治療開始となるまでには1ヶ月程度かかります。そして何より、万一の時には薬事法による補償がないという事を認識しておく事も大切でしょう。

先進歯科医療の代表格ともいえるインビザラインは、間違いなく素晴らしい矯正術です。今や世界中で導入され、年間に何百万人という人が治療を受けています。装置に使用されている素材そのものも、厚労省が安全性を認めているものばかりです。ただし、メリットと同じくらいデメリットがあるという事を知って前向きに検討するべきものだと言えるでしょう。