保険が利かなくても大丈夫、インプラントローンを使って歯の治療は出来ます


都内在住の主婦A子さん、50歳。歯周病で上の前歯を欠損してしまいました。実は抜歯は2度目で、数年前に下の奥歯を抜いています。その時は、別に歯の1本くらいなくても・・・と思っていましたし、実際、特に不自由を感じる事はありませんでした。人目に付く事もなく、少々堅いものでも普通に食べられていたのです。

ただ、流石に上の前歯となると、見た目も含め、1本くらいなくても・・・なんて気楽な事は言えません。正直、気になります。歯医者さんにも、このまま放置しておく訳には行かないので、入れ歯なり、ブリッジなり、インプラントなりを考えるようにと言われています。

ちなみに、先生のおすすめはインプラント治療。少々金額は張りますが、入れ歯やブリッジだって、良質なものは保険外でそれほど安くありません。さらに、保険診療の歯は間違いなく耐久性にも審美性にも欠けます。だったら最初に思い切ってインプラントにする方が利口だというのです。

ところが、A子さんにはこれらの違いがイマイチよく分からない。そのため、どれを選択するのがベストなのか、見当が付きません。もちろん、歯科医がインプラントがベストだと言うのであれば、その通りなのでしょう。けれど、それならそれで、きちんと内容を理解し、納得した上で選びたいのです。

それに、本音を言うと、やっぱりお金の事も気になります。昨年、双子の長男と長女が大学に入った時に貯金は使い果たしてしまいました。当分まとまったお金が入る予定もなく、まだしばらく余裕が出そうにありません。すでに5年前から近所のスーパーで週4日ほど働いていますから、これ以上収入が増えるとは思えないのです。また、これ以上自分が働くと、ご主人の所得控除が受けられなくなってしまう可能性があります。

確かに歯科医院では、『インプラントローン』なるものもあって、費用の事はそれほど心配しなくてもいいと言われました。しかも、インプラントローンを使って支払いすれば医療費控除も受けられるとの事。悪い話ではなさそうですが、ローンを組むとなると厳しい審査があります。返済の義務も生じます。A子さんはパートを持っているとは言え、あくまでも非課税対象の主婦です。審査に通るかどうか? いや、それ以前に、申し込み出来るかどうかすら疑問ですし、返済に対する不安もあります。

きっと、実を言うと私も似たようなものという人は少なくないでしょう。されど、中高年なら、いつこういう状態に見舞われても不思議ではありません。そう、もしかしたら明日は我が身かも知れないのです。

そこで今回は、A子さんにとってインプラントが本当にベストな方法なのかどうか? また、インプラントローンとはどのような金融商品で、主婦が利用出来るものなのかどうか? 利用するにはどうすればいいのか? インプラントローンを利用しなければ医療費控除対象外になってしまのか? などなど、大切な歯とお金について考えて行きたいと思います。

インプラントローンで受ける歯の治療、その内容が知りたい


今回A子さんが聞いた話で注目すべきは3点。欠損した歯を補う方法としてインプラントがベストであるという事と、その費用はインプラントローンを使って支払えるという事。加えて、インプラントローンで支払いすると医療費控除申請が出来るという事です。どれも気になる点ばかりですが、まず、インプラントとはどのような治療なのか? 入れ歯や差し歯、ブリッジとどう違うのかから見て行きましょう。

入れ歯も差し歯もインプラントも、基本的には義歯で歯抜けとなってしまった隙間を埋める治療になります。ただし、義歯はあくまでも表面に出ている歯冠部分のみで、歯茎に埋まっている歯根を持たない歯です。とは言え、歯根が残っていれば、そこにはめ込む事で、歯茎から顔を出すという本来の形状を再現する事が出来ます。それが差し歯です。

しかし、歯根が残っていなければ、その形状を再現する事は出来ません。ならばしかたない、両側の歯に金具で引っかけて抜け落ちないように固定しようというのが入れ歯治療。取り敢えず歯抜けは十分カバー出来ますが、植樹した植木と鉢植えの植木の違いくらい強度や安定性の差があります。歯根を持たない義歯はどんなに立派でも、強度や安定性に欠ける事は言うまでもないでしょう。だったら、歯根から作っちゃえばいいじゃないというのがインプラント治療です。

そもそも「インプラント」というのは、体内に埋め込む人工物の総称。骨をボルトで固定しただけでもインプラント治療をした事になりますし、人工関節や人工内耳、心臓の人工弁など、様々な医療現場で用いられています。シリコンを使った豊胸手術も、れっきとしたインプラント治療の一つです。ただ、整形外科や耳鼻科では、人工関節や人工内耳など、具体的な名称で呼ぶ事が多く、インプラント治療というイメージが薄いものと思われます。

それに対し、歯科ではダイレクトにインプラントという故障を使い、“第二の永久歯”などともてはやしています。また、歯根があっても歯冠がなければ意味がありませんから、必ず義歯とセットで使用します。こうした事から、デンタルインプラントはインプラントの代名詞のようになっている上、入れ歯と区別の付かない人、勘違いしている人も多いのです。

ちなみに、ブリッジとは、両側の歯を巻き込んでパーンと被せ物をしてしまう治療。まさしく一つの橋を作る形で、これなら否が応にも歯抜け部分はカバーされますが、歯根がない事に変わり有りません。さらに、入れ歯もブリッジも、必ず他の歯が巻き込まれる訳で、犠牲となる歯の寿命を縮めます。その点、歯根の上に歯冠を装着出来れば、独立出来ますから、そうしたリスクは亡くなる訳です。

という事で、入れ歯や差し歯、ブリッジとインプラントは明らかに異なる治療法です。どれが自分にとってベストかは、人それぞれ。ですが、その内容が分かれば、歯科医がA子さんにインプラントをすすめた理由も納得出来るというものでしょう。耐久性や適合性、調和性を考えた時、A子さんくらいの年の人には是非とも最優先で考えて欲しい治療法だという事なんだろうと思われます。

インプラントローンとは、歯の治療に特化したデンタルローンの事です。


インプラント治療とは本来、ボルトや医療器具など、体内に人工物を埋め込む施術、歯科においては人工歯根を意味します。つまり、インプラントというのは決して人目に付く事のないもの。常に隠れた存在で、外科的手術なくしてインプラント治療は成り立たないのです。

という事で、デンタルインプラントもまた、歯茎を切り開き、その中の骨にインプラント体となる金属歯根を埋め込むところから始まります。入れ歯やブリッジに比べ、明らかに大がかりな治療です。そのため、高度な技術を必要とし、その分、費用はかさみます。1本あたりの相場は30万円前後といったところでしょうか。

ちなみに、最も安価なプラスチック製の歯は保険が使えるので、さらに安くなって、1本数千円で収まる事も珍しくありません。総入れ歯にしても、インプラント1本分くらいの額です。ただ、それ以外のセラミックや金属の歯は全て自費診療で、高価なものになると1本50万円以上。それでも歯根のない事に変わりはない訳ですから、それならインプラントの方が利口だと言えそうです。

しかも、A子さんがすすめられたようにローンを使えば、まとまったお金が用意出来なくても大丈夫。それこそ、月々数千円の支払で上質な歯を手に入れられます。ただし、実際にはインプラントローンという金融商品はありません。信販会社や銀行の出す『デンタルローン』や「デンタルクレジット」を利用する形になります。

デンタルローンというのは、歯の治療費を融資する、あるいは借り入れするという前提で貸しつけされるローン商品。住宅購入の際に組む住宅ローンや自動車購入の際に組むマイカーローンなどと同じ、使途を定めた目的型ローンの一種になります。融資限度額や融資方法、金利、返済回数等は金融会社や金融機関によって異なりますが、概ね上限300万、実質年率4%から13%、返済期間5年から7年といったところでしょうか。

デンタルクレジットと称されるものも全く同様で、インプラント治療に限らず、保険適用されない入れ歯や差し歯、ブリッジ治療にも使えますし、歯科矯正にも使えます。ただ、本格的な矯正は一般歯科ではなく、専門の矯正歯科で受ける人が多いため、インプラント治療を得意としている医院では、インプラントローンと呼んでいるところもあるという訳です。

ですので、インターネットなどで調べられる際は、デンタルローンというキーワードで検索されるといいでしょう。「ジャックス」や「アプラス」、「セディナ」や「イオンプロダクトファイナンス」など、複数のローン会社の商品がヒットするものと思われます。そして、その中には必ず、主婦でもOKというところがあるはずです。

主婦がインプラントローンを使って歯の治療を受けるには、どうすれば審査に通る?


デンタルインプラントの人工歯根に使われる金属は、適合性と調和性に優れ、しっかり骨の一部となって歯茎の中に定着します。まさしく根を下ろすという事で、再び快適な食生活が送れるようになる訳です。審美性にも優れ、実の歯を失った事に気付く人は殆どいません。その代わりに、高度な技術と高価な素材を必要とし、治療費が高額になります。そこで、それをまかなうための『インプラントローン』というものがある訳です。

しかも、このインプラントローン、満20歳以上で、ある程度の年収のある人なら、誰でも申し込めます。もちろん、主婦でもパートで働いていればOKです。ただし、申込基準と審査基準は異なり、全ての人が利用出来る保証はありません。いくら申込基準を満たしていても、審査基準を満たしていなければNGとなってしまうのです。そこで、主婦が利用出来る確率を上げるためには、融資希望額、信用情報、歯科医院選びの3点に十二分に気を付ける必要があるでしょう。

まず、こうしたローン審査の最大の焦点は年収と融資希望額のバランスで、それさえ整っていれば、承認される確率は一気に上がります。そして、その目安は概ね2対1。すなわち年収100万円のパート主婦の場合、融資希望額が30万から40万なら通る確率が高いという事です。

よって、治療費の総額がその範囲に収まるように調整しなければなりません。インプラントの場合は元々、1本なら30万前後ですから、それほど神経質になる必要はないかと思われます。けれど、入れ歯や矯正になると、素材や治療法を十分検討する必要がありそうです。

さらに、すでにカードローンやクレジットカードのキャッシングなど、既存の借金があれば、その残高を含めて年収の3分の1で計算されますから、俄然、状況は悪くなります。ましてや、延滞や債務不履行の履歴があれば信用情報に問題あり。100%審査落ちします。

しかし、その一方で、クレジットカードのショッピング枠利用は、毎月きちんと引き落とされてさえいれば、信用度を確立出来る絶好の武器。仮にリボ払いを利用していて、その残高がそこそこあったとしても、足を引っ張る可能性は低いかと思われます。

ただ、全ての金融会社や金融機関のインプラントローンが非課税の主婦でもOKというわけではありません。やはり銀行は厳しく、妻に代わって夫が契約する事を推奨しているところが目立ちます。また、信販会社やローン会社、カード会社でも、所得や勤続年数によっては連帯保証人を立てる事が条件となりそうです。

ですが、前述の通り、歯科の中ではインプラントは比較的お手頃価格の先進医療です。実際、A子さんがもらった見積もりには、税込み35万円と書かれていました。これを年利4.5%のデンタルローンを使い、7年で均等分割返済するとすると、月々の支払い額は4,865円になります。

A子さんの昨年の年収は約101万円で、月平均すると8万4,000円。休みが多く、少々手取りの少ない付きでも十分支払出来る金額です。金融トラブルの履歴もなく、年収とのバランスや勤続年数を見ても文句なしといったところでしょう。

となると、後は主婦でも大歓迎という信販会社やローン会社のインプラントローンを選べば、利用出来る可能性はかなり高そうです。借金をするというのは気が進まないかも知れませんが、取り敢えず今はローンを組んで治療を開始し、余裕が出て来れば繰り上げ返済するという手もあります。もちろん、早期に完済したからと言って、解約金や違約金を取られる心配はありません。

ところが、門戸の広い民間の金融会社のデンタルローンは、契約者に代わって直接医療機関に一括で立替払するという方式です。そのため、予め提携している医院でなければ使えないという落とし穴があります。そこで、どこで診療してもらうかも重要。今回のように、医院の方からすすめて来た場合は間違いなく、どこかと提携しているでしょう。中には複数の信販会社やローン会社と契約していて、患者が自由に選べるところもあります。

けれど、どことも提携していない歯医者さんも多いですので要注意。特に金利や返済条件の良さから特定のデンタルローンを利用したいのであれば、予めHPで加盟医院を確認し、そこで相談するというのも一つの手です。

インプラントローンを使った歯の治療でないと医療費控除は受けられないの?


インプラント治療と『インプラントローン』については大まか分かりました。となると、後は医療費控除の問題です。実は今回の歯科医院の説明は、間違ってはいませんが、少し誤解を招きかねない部分があります。それは、インプラントローンを使わないと医療費控除が受けられないかのように言っている点です。

そもそもインプラント費用が医療費控除の対象になるのは、歯科で支払う診療費事態が医療費だからにほかなりません。しかも、控除が受けられるか否かを決めるのは、支払方法ではなく、支払金額です。早い話、1年間にいくらくらい、医療費を支払ったか? これが勝負の分かれ目。年収200万円以上の人の場合、健康保険や保険会社の医療保険でまかなえきれなかった医療費額が10万円を超えれば控除対象となります。

ただ、あくまでも1年間に医療機関に対して支払った総額であって、その治療に支払った総額ではありません。そのため、歯科医院に直接毎月少しずつ支払っていては到達しない可能性があります。

事実、今回A子さんはインプラントローンを使わず、歯科医院が出す独自の院内分割制度を使ったとしましょう。仮に先と全く同じ条件で契約すると、年間の支払総額は4,865円×12ヶ月で5万8,380円。そう、医療費控除対象外となってしまうのです。

けれど、デンタルローンやクレジットカードなら、ローン会社やカード会社が最初に一括で立替払いしてくれますから、35万円全額が医療費控除対象になります。だから控除が受けられ、お得になるという訳です。

しかしながら、医療費控除の対象額は、必ずしも10万円以上とは限っていません。年間の所得金額に応じて上限額が定められていて、A子さんのように200万円未満なら、年収の5%を超えた段階で対象となります。つまり、101万円の5%という事で、5万500円を超えればOK。なんと、直接的な分割払いでも楽勝なのです。

ただし、医療費控除というのは元々、支払った税金が還付されるものですから、非課税では話になりません。そのため、A子さんの場合は、年間の課税所得が約200万円のご主人に委ねる事になる訳です。すると、仮に12万円の医療費を支払った場合の控除額はおおよそ2,000円となります。

ですが、医療費控除額の算出には、歯科以外の医療機関で支払った医療費も計上出来ますし、なんと、交通費などの通院費や市販の医薬品の購入費も領収書さえあれば計上出来るのです。そして何より、家族みんなのこうした出費を合算する事が認められています。ですので、仮に年収200万円以上で、医療費控除対象額が10万円以上の人でも控除を受けられる可能性は十分あるでしょう。

むしろ、ローンやカードのリボ払いを使うと、月々の支払は金融会社や金融機関への返済であって、医療機関への支払ではなくなります。そのため、最初の年こそガッツリ控除が受けられますが、翌年からは無関係になってしまうのです。ですので、医療費控除額の計算については、目先の損得ではなく、長い目で見て検討しなければなりません。身近に相談出来る人や尋ねられる人がいなければ、インターネットの掲示板で専門家に質問してみる事も大切です。

とは言え、全ての歯医者さんが独自の院内分割制度を持っているとは限っていません。実際問題として、分割にして欲しいと言えば、市販のデンタルローンをすすめられる可能性の方が高そうです。また、来院の度に必要な診療費を支払うとなると波があって、年間の総支払額が控除対象額に達しない年も出て来そうです。

その点、まとまったお金を用意出来なくてもインプラント治療が受けられ、確実に1度は医療費控除も受けられるのはインプラントローンの大きな魅力。前向きに考える価値ありでしょう。