歯の治療費専用のデンタルローン、その審査は厳しいの?


『デンタルローン』はインプラントや歯列矯正など、保険適用外となる高額の歯の治療費を賄うためのローン商品です。使い道が歯科治療費と定められているため、住宅ローンや自動車ローン、教育ローンなどと同じ使途が限定された目的ローンとなります。そこで、使途自由なフリーローンに比べ、金利が低くてお得な分、審査が厳しいという噂がありますが、果たして、本当なのでしょうか?

確かに、お金の使い道が自由な銀行や消費者金融のカードローンの場合、それで歯科治療を受けるとしても、口座に振り込まれたお金や専用のローンカードで引き出したお金を持って歯医者さんに行き、支払いする訳です。余裕があれば、その中から交通費を出してもOK。帰りに買い物したり、食事する事だって出来るかも知れません。

でも、歯科治療費しか借入出来ないデンタルローンでは、そうは行かないのです。まず、申し込みには歯科医院の出す見積書の提示が必須で、そこに明記されている金額がそっくりそのまま融資額となります。1円たりとも多く借りる事は出来ません。

その上、ジャックスやオリコなど、信販会社やローン会社、あるいはカード会社の出すデンタルローンは立替払い方式と呼ばれるシステムで、クレジットカードのように、利用可能な歯科医院まで定められています。しかも、借りたお金はダイレクトに医療機関の方に振り込まれるため、自分は1円たりとも手にする事が出来ません。

また、スルガ銀行リザーブドプランプラス」のような銀行の出すデンタルローンでは、借りたお金を手にする事は出来るものの、歯科での支払いを証明する領収書の提出がお約束。やっぱり無駄に使う事は出来ません。そういう意味では、間違いなくこうした目的別ローンは何かと規制が厳しいと言えるでしょう。

ただ、審査については、目的ローンであってもフリーローンであっても多額のお金を借りる事にかわりないのですから、大差はないものと見られます。銀行や信用金庫などの金融機関に比べ、消費者金融は審査が甘いという話をよく聞きますが、そんな噂は信じない方が安全。怖いお兄さんたちがローン会社勤務しているようなちょっと特殊な世界の話です。

さらに、残念ながら、純粋なカードローン消費者金融でデンタルローンのような目的型ローンを出しているところは殆どありません。利用するとすれば、フリーのカードローンとなり、間違いなく高金利です。

それに、銀行にしても、信販会社にしても、ローン会社にしても、全ての申込者に厳しいという訳ではないのです。驚くほど簡単にお金をかしてくれるところは沢山あります。驚くほど簡単に融資を受けられる人も大勢います。そこで今回は、どのような人に対し、デンタルローンの審査が厳しいのか? あれこれ探ってみましょう。

デンタルローンの審査が厳しいと思われる人(その1)、既存の借金がある人


そもそも、なぜ、デンタルローンのような金融商品が登場したのかと言えば、歯科矯正やインプラントなど、保険が利かず、高額の治療費のかかる歯科治療を受けたいと思う人が増えたからにほかなりません。特にインプラントは昔はなかった新たな治療法であって、第二の永久歯とも呼ばれる良質な義歯を手に入れる事が出来ます。

また、歯列矯正においても、裏側から器具を挿入し、目立たないように治療を続けられる最新の技法が登場して来ました。その文、そうした治療にかかる費用は半端なく、まとまったお金が用意出来なければ受けられないという難点を秘めています。

ちなみに、インプラント治療にかかる費用は1本あたり30万前後と言われていますが、周囲の歯や歯茎の状態によっては50万円以上かかる事もあります。また、矯正治療になると、100万円を超える事も珍しくありません。そこで、そのまとまったお金を用立てる手段として売り出されたのがデンタルローン。そのため、端からある程度高額のローンを組む事が前提となる訳です。

ところが、日本には「総量規制」なるものが存在します。こちらは、年収の3分の1を超える融資は受けられないというもので、基本的にはフリーローンを対象とするものですが、デンタルローンのような目的ローンでも適用される事はしばしばなのです。

そのため、年収300万円の場合、融資を受けられる限度額は100万円。まあもっとも、デンタルローンは使途が医療費の一種という事で、多少の融通は利くでしょう。仮に治療費の総額が120万円であっても、信用情報に問題がなければOKとなる可能性は低くないものと思われます。

ところが、この総量規制は、新たな借入れだけでなく、既存の借入残高も合算して年収の3分の1に抑えなければならないという規定があるのです。そうなると、すでに銀行カードローンや消費者金融からの借入で100万円に近い借金のある人は利用出来ない事になります。

さらに、既存の借金残高が50万円だった場合、限度額は50万円。インプラント治療を受ける事を前提に申込した場合は通るかも知れませんが、矯正にかかる費用100万円を申し込んだ場合は通らない可能性大でしょう。という事で、特に消費者金融や信販会社に既存の借金のある人は要注意。どこのデンタルローンを申込みしても、恐らく審査の厳しい人になるものと思われます。

確かに、総量規制の対象となるのはあくまでも消費者金融や信販会社、ローン会社、あるいはカード会社など、いわゆる金融会社からの借入だけで、銀行や信用金庫など、金融機関からの融資は対象外だとされています。しかしながら、銀行だって、無理な貸付は申込者の首を絞める事にもなりかねません。これ以上、借金が増え、月々の返済が増えたらどうなるのかを考える必要性があります。結果、既存の借入残高を無視する事は出来ないという事で、それも加味して審査されるため、自ずと厳しくなるという訳です。

デンタルローンの審査が厳しい人(その2)、会社での在籍確認が取りにくい人


前述の通り、デンタルローンの融資限度額は、契約者の年収をベースに検討されます。そのため、その範囲に十分収まる金額であれば審査は通りやすくなりますが、ぎりぎりだったり、上回ると難航するでしょう。

しかしながら、こうした審査が出来るのは、申込者の年収が明確になってこその事。そこで、デンタルローンの申込みには必ず、所得証明書の提出が必須となります。会社に勤めている人であれば、雇用形態に関係なく、源泉徴収票を出すのが一番です。また、自営業の場合は、確定申告書がベストとなります。

ですので、専業主婦や学生は審査基準すら満たしておらず、申込み自体が出来ないというところが大半です。加えて、金融機関では、大半が年金のみで生計を立てているような人もNG。その代わりに、スルガ銀行などは、就労していて一定の所得を得ている家族が、主婦や学生、あるいは、年金受給者である患者本人に変わって契約する事を認めています。

そう、こうしたローンを申し込むにあたっては、安定かつ継続した収入のある事が絶対条件なのです。収入のない人イコール、返済能力のない人という事で、却下されてしまいます。しかしながら、たとえ主婦や学生でも、パートやアルバイトをしていて収入があり、証明書が出せれば、取り敢えず最低限の審査基準を満たす人です。事実、信販会社やローン会社はもちろん、銀行でも多くのところがパート・アルバイトでも申込み可能としています。

とにかくあくまでも年収ベースですから、極端な話、隔月しか働かないとか、夏しか働かないといった完全なフリーターでも、年間の総所得がそこそこあれば審査に通る可能性はあるのです。まあ高望みをしなければという条件付きにはなりますが、派遣社員や契約社員も含め、いわゆる非正規雇用であっても、デンタルローンの利用自体は出来る事になります。

ただし、派遣社員や契約社員で、勤務先での在籍確認が取りにくい場合は要注意です。自分が確実にその会社で働いている事を証明出来るように万全の準備を整えておく必要があります。特に派遣社員の場合は、書類上の勤務先が派遣会社になるため、そちらへの対策も忘れてはいけません。

やはり予め、デンタルローンを組んで歯の治療を受けたいと考えている旨を説明し、そこに登録して派遣先へ出向している事を証言してもらえるようにしておく事が大切でしょう。もし、在籍確認の電話が入っても、“そんな人、知りません。”と言われてしまえば一気に状況は悪化します。

さらに、いくら年収はそれなりにあっても、職場や仕事を点々としているフリーターも厳しい人の一人です。まさしく継続は力なり。一定の職場で長く働いている事が一つの信用となり、審査を優位にします。そういう点でも、会社が発行する源泉徴収票は実に有効な所得証明書なのです。

デンタルローンの審査の厳しい人(その3)、現金払い手技で信用情報の得られない人


デンタルローンの審査の最大のポイントは、いかにきちんと返済してもらえるか? そして、それには、年収と融資額のバランスが重要になり、既存の借入があれば、その残高と月々の返済額も考慮しなければなりません。

そうは言っても、年収については、所得証明書の提示を必須とする事で容易に把握出来ますが、既存の借入の有無や借金返済の状況なんて本当に分かるの? そう思われる方もいらっしゃる事でしょう。でも、簡単に分かるんです。

何しろ、私たち日本人の銀行や消費者金融からのお金の貸し借り、さらに、カードでのショッピングと支払いの履歴は全て、各金融会社や金融機関のデータバンクだけでなく、個人信用情報機関と呼ばれる業界共有のデータセンターに登録されています。そのため、そこにアクセスし、しかるべき手続きを取れば、簡単に先のような情報は呼び出せてしまうのです。

しかも、過去に不渡りや踏み倒し、支払い延滞など、一度でも金融トラブルを起こしていれば事故情報として登録され、公開されているため、自己破産をした人はもちろん、カードローンやクレジットカードの支払いが遅れた事があるという人も要注意。思いのほか審査が厳しくなるかも知れません。また、自動車ローンや住宅ローンを抱えていれば、それが審査に影響を与える可能性も少なからず秘めています。

ただし、逆に自動車ローンや住宅ローンがあっても、毎月まじめに返済していれば、補足ローンとして審査が優位になる事もありますので、やはり大事な事は事故情報のない事。そして、すでにローンを組んでいる金融機関や金融会社で相談するのが利口でしょう。仮に、そこにデンタルローンという名の目的別ローンがなくても、みずほ銀行やスルガ銀行カードローンのように、歯の治療費として利用可能なフリーローンを低金利で使える可能性もあります。

そんな中、こうしたローン返済まっただ中という人や事故歴のある人以上に厳しい状況に置かれやすいのが、現金払い手技で、クレジットカードやローンを使った事のない人です。こういう人はスーパーホワイトと呼ばれ、この上なく身綺麗な事は間違いないのですが、信用情報機関に肝腎の信用情報自体が登録されていないのですから困ったものです。結果、信用度を測る判断目安が不十分となり、審査がより厳しくなってしまう可能性があるのです。

ですが、その一方で、有名な事故歴を持つ完全ブラックと思われる人が、あっさり通るという事も珍しくありません。なぜなら、過去の金融事故情報は一定の期間が過ぎると末梢され、なんと、ホワイトになってしまうからです。

ならば、どのくらいの期間がたてばブラックからホワイトになれるのかと言うと、これは信販会社やカード会社、そして、信用情報機関の方針によって異なります。ですので、心配な方は事前に、自分で自分の信用情報を調べられるといいでしょう。日本信用情報機関など、各信用情報センターに直接申込みする事で自らの現状を開示してもらえます。

尚、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を分割払で購入した人は、スーパーホワイトではありません。月々の請求料金の中に含まれている「端末購入代金」を支払っている事がローン返済している事になるので、現金払い手技でも問題なしです。

デンタルローンの審査が厳しい人になる前に申し込みするのは利口な手です


今や自由診療となるインプラント治療や矯正治療も心配ご無用。もし、まとまったお金が準備出来なければ、銀行やローン会社が出すデンタルローンを使うという手があります。もちろん利息はつきますが、消費者金融のカードローンや銀行のフリーローンに比べれば低金利ですし、コツコツ貯金する感覚で月々のローン返済をして行けばいいだけの話です。医療費控除も受けられますから、是非とも前向きに考えるべきでしょう。

そんな中、つい先日、婚約者がデンタルローンを使って歯の矯正をしたいと言っているんだけど、自分としては承諾しかねているという相談を友人から受けました。ちなみに、彼は30代前半のサラリーマンで、いわゆる現金払い主義者。未だにキャッシュカードとドラッグストアのポイントカード以外、電子マネーもクレカも使っていません。そんな男性ですから、彼女がカードで買い物をするのも気掛かりで、ローンを組むなんてとんでもないという事なのです。

しかし、今のうちにデンタルローンを組んで歯列矯正しておくというのは、中々利口な手です。何しろ、女性は結婚して子どもが出来れば一時的にでも専業主婦になる可能性大。そうなると、たちまち収入がなくなり、ローンを組む事が出来なくなってしまうのです。

仮に、パートで働いたとしても、低所得の非正規雇用という事で、審査は厳しくなります。特に歯科矯正となると、十分な費用を借入出来ない事も大いに考えられるだけに、ボーナスもある今のうちにという彼女の言い分には大賛成です。

実際、彼女も今のところ、結婚しても仕事を続ける予定ですが、あくまでも予定は未定。子どもが出来たらどうなるか、どうするかは全く分からないと言います。ですが、今ならOLで税込年収350万という事ですから、約100万円の矯正費用を満額借り入れする事も無茶な相談ではありません。携帯電話を分割払い購入していますが、他に自動車ローンのような大きなローンもなく、日ごろからクレジットカードを使っていて、延滞の履歴もないとなると、信用情報も問題なしです。

実はこうしたローンの審査は面白くて、たとえ契約成立の翌日に退職したり、転職しても契約不履行になる事はめったにないのです。その後も、ローン返済さえ滞りなく行われていれば、何ら問題視される事はありません。ですから、特に女性の場合は、近い将来結婚の予定があるのであれば、独身のうちに申し込みし、契約完了させておくのがコツです。

これはデンタルローンに限らず、他の目的ローンやフリーローンにも当てはまる事。もちろん、借金天国にいる状態で嫁ぎ、専業主婦になるのは危険ですから、限度額を十二分に考慮する必要はあります。いずれ仕事を辞める可能性が高い人は、退職金で完済する事を前提に借入されるのがおすすめです。

さらに、万一自分に収入がなくなった時にでも無理なく返済して行けるようなシミュレーションをした上で返済期間や返済方法を決める事も大切でしょう。ですが、歯列矯正のように、自分磨きにお金をかけられるのも、独身OLの特権です。それを生かし、今のうちにというのは決して悪い事ではないのではないでしょうか?