進化する歯科矯正、フリーターでもデンタルローンの審査に突破すれば受けられる
昔は歯科矯正と言えば、恐ろしいほどのお金がかかりました。もちろん、今もそれは変わらず、初診の問診からアフターケアまで全て健康保険の対象外。その費用は、平均で100万円前後と言われています。
とは言え、歯科医療の進化した現代では、昔のように歯の矯正イコール大がかりな器具装着という訳ではありません。毎晩マウスピースをはめて寝るだけという驚くほど容易な方法もあります。しかも、このマウスピースを使った「インビザライン」や「アライナー矯正」、あるいは、「DEL矯正」と呼ばれる歯列矯正の気になる矯正代はと言うと、70万から90万ですから、伝統的技法である「ワイヤー矯正」とほぼ同等か、若干お安めです。
さらに、こうした矯正治療で使われるマウスピースは、とにかく薄くて軽くて透明なのが大きな特徴。矯正している事が家族にすら分からないというからビックリでしょう。また、自分で簡単に脱着出来、食事や歯磨きの邪魔になる心配もありません。綺麗に洗浄出来るので、衛生面でもベリーグッドです。加えてもう一つ、人目に付く前歯だけを整えるという事も可能で、そうなると治療費は一気に安価になります。
そして何より、最大のネックであった多額の矯正費用の支払い方も様々になりました。独自の分割払い制度を設けている歯科医院もあれば、クレジットカードが使える歯医者さんも多いですし、『デンタルローン』と呼ばれる歯科治療費専用のローン商品もあって、まとまったお金が用意出来なくても容易に治療開始にたどり着けるのです。つまり、昔に比べて今時の歯科矯正は、肉体的にも精神的にも、経済的にもずいぶん負担が軽くなっていると言えます。
取り分けデンタルローンは、インプラントや歯列矯正など、自由診療となる歯科治療費に特化した金融商品という事で、消費者金融のカードローンや銀行系カードローンよりも低金利。中には実質年率3%台の固定金利商品まであります。返済期間も長く、最短でも5年、長期になると7年とか10年というのもありますから、治療が終わってからもコツコツ支払いを続ける事が出来るという訳です。
という事で、こうした歯科治療を巡る技術や支払い方法の多様化が今、矯正歯科での患者数を着実に増やしていると言われています。大人になってから、自分の意思と力で歯並びを整える人が増加しているのです。
ただ、その成人矯正を希望する患者数以上に日本国内で急増しているのがフリーター。企業や団体に正規雇用されていない人たちです。いわゆるパートやアルバイトで生活している人たちですが、当然、ローンを組むには審査があって、その審査には収入や雇用形態が大きく影響します。
となると、デンタルローンや院内分割を使って歯を矯正したい。でも、自分はフリーターだから、審査に通らないのではないかと悩まれる方も多いでしょう。でも、大丈夫。フリーターだからデンタルローンの審査に通らないという事はありません。
フリーターでもデンタルローンを使って矯正治療を受けている人、受けた人は大勢いますという事で、今日はフリーターがデンタルローンを組む際の審査ポイントを見て行きたいと思います。
そもそもフリーターがデンタルローンの審査に突破してまでも歯を矯正する必要があるの?
今、美意識の強い成人男女の間で密かにブームになっているのが歯列矯正。歯並びを整える歯科での治療です。
元々歯科矯正は発育不全などの理由で咬合、即ち、上の歯と下の歯の噛み合わせに問題がある時のための措置でした。やはり食べ物が綺麗に噛めないと、消化不良や偏食による栄養の偏りを自然に生じます。また、顎関節症の要因にもなるという事で、早期に改善する事が求められる訳です。
ところが昨今、矯正歯科を訪ねる人の約3割から4割は、別段噛み合わせに問題ない人だと言います。そう、歯並びが悪いからと言って、必ずしも健康を害するほどの咬合機能障害を発症するという訳ではないのです。極端な話、上下の歯が仲良くくぼんでいたり、重なっていれば、それはそれでうまく噛み合います。
また、思い切りねじ曲がった前歯が1本あったとしても、その周辺の歯が綺麗に生えそろっていれば、無理に矯正する必要はないでしょう。ただ、見た目的にはおせじにも美しいとは言えません。そこで、医療的観点からではなく、美容的観点から自分の歯並びを問題視し、治療したいと希望する人が増えているという訳ですが、果たして、フリーターがデンタルローンを使ってまで歯列矯正する必要が本当にあるのでしょうか?
もし、デンタルローンを使うとすれば、審査を突破しなければなりません。フリーターにとっては難関です。また、当然ですが、お金を借りれば借金返済の義務が生じます。その後の支払いを考えても、そこまで無理しなくてもとおっしゃる方が圧倒的多数なのではないかと思われます。
けれど、人の歯並びというのは意外と気になるもの。特に男性は歯の綺麗な女性を求める傾向が強く、とあるアンケート調査でも、思わず引いてしまう女性のお口の状態、第1位は口臭でしたが、続く第2位は歯並びで、第3位は着色でした。という事は、面接の際にさりげなく歯の状態をチェックされている可能性は十分あり得る訳です。
さらに、歯並びが悪いと、空気の通りや滑舌が悪くなり、自分ではちゃんとしゃべっているつもりでも、実は発音が悪かったり、人には聞き取りにくい話し方になっている事がしばしば。これは相手が異性であっても同性であっても大きなマイナス要素です。
しかも、“受け口”と呼ばれる「反対咬合」は、下の歯が上の歯よりも前に出ている状態で、どんなに美しい輪郭や目鼻立ちをしていても、その価値を低下させてしまいます。それを知っているだけに、出来るだけ口を大きく開けないようにしていると、むっつりした子だとかと言って、敬遠されてしまう訳です。こうした事は、いつかどこかの会社の正社員にと思って必死に頑張っている人には重大問題でしょう。
ですが、思い切って歯の矯正をすれば、面接でだって堂々と笑顔でハキハキ応対出来ます。つまり、フリーターにとっての歯列矯正は、就活の一環でもあるのです。決して無駄な事でも、無意味な事でも、無用な事でもないのではないでしょうか。
歯列矯正費用っていくらくらいなの? デンタルローンの金利ってどのくらいなの?
確かに、保険の使えない歯科矯正は非常に高価ですが、フリーターが頑張ってローンを組んで受ける価値の十分ある歯科治療です。ただ、実際のところ、歯列矯正費用がいくらくらいのもので、デンタルローンとやらの金利はいかほどなのか? 見当も付かないという方は少なくないでしょう。という事で、次にその辺りを見て行きたいと思います。
前述の通り、昔は歯科矯正と言えば、「ブラケット」と呼ばれる金属板を歯の表面に当て、「ワイヤー」と呼ばれる針金で固定して行くものと決まっていました。ですが、今ではこれが最も安価な矯正術となっています。なぜなら、矯正装置を歯の裏面に装着する「裏側矯正」や先のマウスピースを使った最先端の矯正法が登場して来たからです。
という事で、昔ながらのワイヤー矯正だと、70万から90万、裏側矯正だと90万から120万。マウスピース型矯正だと80万から90万といったところでしょうか。部分矯正の場合、この半分から3分の2程度になります。裏側矯正が最も高価なのは手間がかかり、高度な技術を持つ歯科医でないと出来ないからです。
その一方で、マウスピース矯正は手間という点では殆どかからないと言えるでしょう。何しろ、矯正装置と言っても患者自身が自由に脱着出来るもので、精密検査と型取りさえ完璧に出来る医師なら誰でも扱えます。ただ、治療開始から終了までに40個から50個のマウスピースが必要で、費用の大半は装置代という事になります。
次に、デンタルローンの金利ですが、現時点で最も低いのが3.9%、最も多回のが14.4%といったところでしょうか。いずれも実質年率です。ただし、銀行や信用金庫のような金融機関の場合だと、既存の取引状況で金利優遇される可能性もありますから、必ずしもこの限りではありません。
さらに、「デンタルローン」とは銘打っていなくても、歯科治療費という目的を定めた融資であれば、「目的ローン」や「目的別ローン」、あるいは、「多目的ローン」という形で、使途自由なフリーローンより低金利で借り入れ出来る事もあります。
ちなみに、限度額は300万から800万。平均500万となっていますが、目的型ローンであるデンタルローンの場合、歯科医院が出した治療費の見積額がそのまま融資額となります。そのため、上限300万円のローン商品でも全く問題ないでしょう。
それより気にすべきは返済期間。もし、最高60回払いまでとなっていれば、5年間で完済しなければならなくなってしまいます。当然、月々の支払額は大きくなりますから、少しでも無理なくと思うのであれば、やはり7年くらいかけて返済出来るようなローンを選ぶのがおすすめです。
という事で、平均的なワイヤー矯正の費用70万円を実質年率4.5%、84回払いで契約するとすると、金利の総額と月々の返済額は以下の通りとなります。
フリーターがデンタルローンの審査を受ける際、収入と限度額のバランスはどう評価される?
高価なイメージの強い矯正費用も、ローンを組めば月々の返済額は1万円弱です。これくらいなら何とかなるという方は少なくないでしょう。これでコンプレックスが解消され、憧れの会社の正社員になれれば悪くない投資です。実際、そういう考え方でデンタルローンを利用して歯列矯正されるフリーターが増えているのです。
こうなると、お金を借りる事より怖いのが審査。特にフリーターは自分の雇用形態が気になるところです。ところが、融資する側が本当に気にしているのは雇用形態ではなく、勤務形態や勤務状況。なぜなら、それこそが収入に直結し、返済能力を示唆するものだからです。
確かに、信販会社やローン会社のデンタルローンは、融資限度額を申込者の年収の3分の1に設定しているところが圧倒的多数。これは総量規制という法律に倣うもので、銀行ローンでも、似たようなものだと思っておいた方が無難でしょう。そのため、ボーナスや賞与のないフリーターは間違いなく不利です。
しかしながら、パートやアルバイトでも、毎日フルタイムで働いていれば、かなりの金額になるはずです。事実、時給1,000円で1日8時間、月20日間勤務していれば、月収は16万円。年収192万円です。その3分の1という事は64万円。インプラント治療や部分矯正のためのローンなら十分組めそうです。たとえ全体矯正でも、恐らくOKサインの出る可能性は低くないでしょう。
というのも、歯の治療費は医療費控除の対象となるもので、デンタルローンは医療ローンに位置づけられます。そのため、仮にカードローン会社や消費者金融が取り扱っていたとしても、原則、総量規制の対象外となるのです。早い話、楽器ローンや自動車ローン、バイクローンのような嗜好品を購入するための融資でもなければ、サラ金借り入れとも違うという事です。
ただ、貸す側としては、やはり少しでも返済が確実な契約をする必要があります。そこで、年収の3分の1を上限に受け付ける訳ですが、実際のところ、64万円でも74万円でも、月々の支払額は目を見はるほどの大差がある訳ではありません。特に返済期間が長くなればなるほど差は縮まり、実質年率4.5%・60回払いと実質年率4.5%・84回払いで借り入れした時の月々の返済額は次の通りです。
借入金額64万円・・・月々の返済額11,931円
借入金額74万円・・・月々の返済額13,795円
借入金額64万円・・・月々の返済額8,896円
借入金額74万円・・・月々の返済額10,286円
確かに、月々1,000円以上2,000円近くの差があり、借入金額と分割払い回数が増えれば増えるほど間違いなく利息を沢山支払わなければならなくなります。しかし、いずれの場合も、月収16万円のフリーターなら、それほど返済が厳しい額ではないでしょう。少なくとも、融資するローン会社や金融会社は、そう判断するものと思われます。よって、デンタルローンを組んで矯正治療を受ける事は可能だという訳です。
という事で、とにかく、ローンを組むには所得証明書の提出が必須で、最も効果を発揮するのが源泉徴収票。これにより、年収プラス、勤務先が証明されます。そう、全てのデンタルローンの最低限の審査基準値である“安定かつ継続した収入がある事”をクリア出来るのです。会社への在籍確認の電話はほぼ100%入りますが、審査を突破出来る確率はぐんとアップするでしょう。
フリーターがデンタルローンの審査に突破するコツは?
という事で、フリーターでも特定の勤務先があって、サラリーマンやOLよろしく、毎日まじめに働いていれば、デンタルローンを使って歯の矯正が出来る可能性は決して低くありません。特にローン会社や信販会社なら、保証人不要と判断される可能性も低くないでしょう。
ただし、ローン会社や信販会社、あるいはカード会社の出すデンタルローンは大半が立て替え払い方式と呼ばれるもので、金融会社から直接歯科医院に治療費が支払われます。そのため、予め提携している歯科医院でなければ使えません。申込自体を医院の窓口でする形です。
ですので、もし、掛かりつけの歯医者さんや通院を希望する矯正歯科が該当しなければ、医療機関を指定しない銀行ローンの方が望ましいという事になるでしょう。その場合でも、先のような所得要件を満たしてさえいれば、親や兄弟が保証人になる事で問題なく利用出来ると思われます。
ただし、融資希望額を極力低くして申込みするのが、フリーターがデンタルローンの審査を突破する最大のコツ。従って、裏側矯正やマウスピース矯正のような先進矯正ではなく、伝統的なワイヤー矯正を選択するのが利口でしょう。
ですが、ワイヤー矯正は今も昔も最強の矯正術。健康な人なら対応出来ない症例が殆どなく、裏側矯正やマウスピース矯正では太刀打ち出来ない筋金入りの八重歯や折れ曲がった歯でも真っ直ぐに整えられます。さらに、失敗やトラブルの発生率もはるかに低いです。そう、必ずしも先進技術が常に最良という訳ではないという事です。
それと同じように、借入先も、必ずしも銀行の方が低金利で安心安全とは限っていません。事実、先にご紹介した実質年率4.5%のデンタルローンを出しているのは信販会社の「ジャックス」ですし、実質年率3.9%のデンタルローンを出しているのはイオングループのローン会社「イオンプロダクトファイナンス」です。それに対し、スルガ銀行のデンタルローンがなくなった今、銀行のデンタルローンの平均金利は5%を超えていますから、民間の金融会社の方が利用しやすいという事になります。
ただし、いくら収入面で審査基準を満たしていても、信用情報に問題があれば審査を突破出来ません。信用情報とは、「個人信用情報機関」と呼ばれるデータバンクに登録されている私の金融情報。スマートフォンを分割払いで購入していれば、その情報すら登録されていて、そこを調べられれば、
その結果、すでに既存の借金があって、これ以上月々の返済額が増えると苦しくなると判断された場合は、審査落ちするでしょう。もちろん、過去に負債を放置した焦げ付きや自己破産といった金融事故を起こしていれば一発でアウト。ですので、気になる方は事前に調べた方がいいかもです。
そして、危ないと思えば、決して事を急がない事が大切です。まずは1年ほど待って、出来るだけ既存のローンや借金の借入残高を減らす事。加えて、出来るだけカードの使用も控えるに限ります。そうする事で総量規制の枠にも余裕が出来ますから、実際に申し込みした時に限度額を上げる事も出来るのです。
そう、年収の3分の1という融資額の目安は、信用情報機関に登録されている既存の借り入れ全てを含みます。ただですらも年収が少ないフリーターは、この事をしっかり把握しておく事も重要でしょう。