歯科治療費専用のデンタルローンを使ってインプラントを受けられるのか?
歯科治療費用を賄うための『デンタルローン』ですが、インプラントや義歯では案外利用者が少ないという現状があります。そして、その理由の一つとして、矯正やホワイトニングを種とする矯正歯科や審美歯科でのみ使えるものだというイメージがあるからだと言われています。
事実、オリコやセディナといった信販会社やカード会社など、民間の金融会社の出すデンタルローンは立替払契約という方式で、どこの歯科医院でも使えるというものではありません。クレジットと同様、融資元となるローン会社と予め契約している加盟歯科医院でなければならないのです。しかも、パソコンやスマホから簡単申込みなんて謳っているWebデンタルクレジットでも、委員の窓口でもらう申込用パンフレットに記載されているパスワードを入力しないと手続き出来なかったりもします。ところが、その加盟因果まだまだ全国的に少なすぎるという問題も秘めています。
例えば、実質年率4.5%という脅威の固定金利で人気の『デントキュア』は、大手信販会社「ジャックス」が出していて、流石に東京都内には41軒も提携歯科医院があります。けれど、千葉には、僅か4軒しかありません。それでも、まだあるだけましという感じで、提携医院0軒という県も少なくないのです。
確かに、元々高額な歯列矯正をメインとしている矯正歯科や審美歯科、さらに、矯正治療を専門とする歯科医師のいる美容外科などは、毎月少額ずつ分割払で歯並びを綺麗に出来るとテレビCMでもアピールしています。つまり、端からデンタルローンを利用する事を前提に治療方針をたて、治療費を算定したりもするのですが、虫歯や歯周病の治療を種とした待ちの歯科はそうではありません。やはり保険診療を種としていますから、ローンを組んで歯を治すなんて、それこそ、歯医者さん自身が考えていない事もしばしばです。
とは言え、そういう歯科医院でも、腕のいい歯科医は多く、インプラントのような高度な治療が十分出来るところは少なくありません。となると、後は患者の懐具合が問題になって来る訳で、そんな時に強い味方になってくれるのがデンタルローンなのです。にも拘わらず、それが使えないとなると、選択肢は2つ。思い切ってデンタルローンの利用可能な加盟歯科に転院するか、保険で対応出来る安価な入れ歯で我慢するかです。されど、たとえ転院したいと思っても、自宅や職場の近くに提携医院がない事も考えられます。
そこで今回は、そもそもデンタルローンを使ってインプラント治療や義歯の挿入は出来るのかどうか? さらに、掛かり付けの歯科医院がどこのローン会社とも提携していない場合、どうすればいいのかをご紹介したいと思います。
矯正治療や審美治療だけじゃない、デンタルローンはインプラントにも使える
歯列矯正やホワイトニングのような矯正治療や審美治療におすすめされる事の多いデンタルローンですが、インプラントや保険適用外となる高価な入れ歯の挿入などにも使えます。特にインプラント治療については、ほぼ100%のデンタルローンがOK。どこの案内にも、矯正しか・審美歯科・インプラントの3項目は明記されています。
そもそもデンタルローンやデンタルクレジットなどと呼ばれるローン商品はその名の通り、歯科治療費専用のローンです。よって、極端な話、虫歯1本からでも使おうと思えば使えるのです。ただ、虫歯や歯周病はれっきとした疾患であって、放置しておくと間違いなく多大なる健康被害をもたらせます。そこで、そうした歯科治療は基本的に健康保険の対象治療となっていますから、一度に何十万・何百万という高額の診療費を請求される事は少ないでしょう。
確かに、こまめに歯医者さんに通っていると、結構その費用もバカにはなりません。とは言え、1回の支払いは1,000円・2,000円といったところです。これで面倒な申込み手続きをし、審査を受け、お金を借りる。さらに、その借りたお金に金利を付けて返すとなると、果たしてそれだけの価値があるのかどうか? 疑問です。
また、銀行や信販会社としても、申込が出された以上、勤務先や信用情報機関に問合せをし、就労状況や経済状況を確認しないといけない訳ですから、手間がかかります。それで利用金額が1万円や2万円というのでは、どう考えても割が合わないでしょう。そのため、歯科矯正やインプラントなど、保険の対象外となる歯科治療費と規定しているところもあります。さらに、融資額も最低10万円からというのが多く、やはり虫歯治療や歯周病治療そのものでデンタルローンを使うというのはいかがなものかと考えがちです。
ですが、虫歯治療として用いられる詰め物や被せ物には、いくつかの種類があります。そして、アレルギーを防ぐ必要がある人や快適な予後を希望する人は、セラミックや金を選ばなければならないのですが、これらはすべて保険適用外。レントゲンも含め、削る・詰める・被せるといった歯科医の技術料は保険が利いても、材料費は全額自己負担です。そうなると、たかが虫歯治療でもバカには出来ません。
因みに、金を使用する場合、詰め物で4万円、被せ物で6万円程度といったところでしょうか。しかし、セラミックになると、詰め物でも5万円以上、被せ物になると10万円を超える事も珍しくないのです。1本ならともかく、2本・3本まとめてとなると、デンタルローンを利用する必要性や価値も出て来ます。
ましてや、重度の虫歯や歯周病で抜歯となり、欠損した歯を補うとなると、義歯でも銀歯以外は自由診療です。特にインプラントは第二の永久歯とも呼ばれ、どんな高価な入れ歯よりも快適な予後を約束してくれますが、その費用は最低でも30万円。状態によっては50万円近くかかる事もあり、デンタルローンがあればこそ気軽に受けられる治療なのです。
加盟歯科医院や提携歯科医院がなくてもデンタルローンを使ってインプラントは受けられる
インプラントのような高度な歯科治療が受けられるかどうかはズバリ、患者にお金と知識があるかどうかにかかっています。お金はなくても知識があれば、高額な治療費も毎月少しずつ分割で支払い出来るデンタルローンを使って受ける事が出来るのです。
しかも、銀行のデンタルローンなら、歯科医院と取引があるだのないだの、契約しているだのしていないだのと煩い事は言われません。歯科医の書いた正規の見積書さえあれば申込み出来ます。なぜなら、目的型ローンの一種として取り扱っているからです。
この目的型ローンというのは、マイカーローンや住宅ローンに代表されるように、借りたお金の使い道を明確にした上で申し込むローン商品。フリーローンのように、取り敢えず50万円とか、100万円というアバウトな借り方は出来ません。例えば、歯医者さんでもらった見積書に治療費の総額が39万8,120円となっていれば、その39万8,120円が融資額となります。
つまり、それ以上の金額を都合してもらう事は出来ないのです。さらに、歯科医院が発行する領収書を後日提出する事も要求されますが、その代わりに、金利が安く、使途自由なフリーローンの半額以下という事もしばしばです。
そして何より、銀行や信用金庫など、金融機関の出すデンタルローンは、自分の口座に振り込まれたお金を引き出したり、発行された専用のローンカードを使ってATMから引き出したお金を歯医者さんに支払う形。お陰で、歯科医院がその銀行と取引していてもいなくても関係ありません。どこの医院でもデンタルローンを使った治療を受ける事が出来ます。
例えば、千葉県には先述の通り、大手信販会社の出すデンタルローンが利用出来る提携医院は4軒しかない訳ですが、千葉銀行なら県内一円、160店舗もあります。そして、その各店舗の営業圏内に在住しているか勤務していれば「ちばぎんデンタルローン」は利用出来るのです。
実質年率も、変動金利とは言え、5.0%~5.2%と、同じちばぎんのフリーローン「クイックパワー」で50万円借入れした時と比べると3分の1近くも低金利です。さらに、返済も最長10年という事で余裕。インプラント・矯正歯科・審美歯科などで必要になる保険外治療費の全般が対象となります。流石、日計平均株価の銘柄にも上げられる国内ナンバー2の地方銀行が出す自慢のデンタルローンです。
ただし、こうした金融機関の目的ローンは原則として、定職と定収入がある事が必要最低限の申込み条件となっています。そのため、専業主婦はもちろん、年金受給者でも申し込み不可。むろん、連帯保証人を立てても駄目なものは駄目です。
ただ、専業主婦の妻に代わって夫が、あるいは、年金暮らしの親に代わって娘や息子が契約者になる事は出来ます。それもまた、金融機関の出す目的別ローンの大きな特徴。ですので、掛かり付けの歯科医院でインプラント治療が受けられるのであれば、まずは家族に相談し、次に地元の金融機関に相談されるといいでしょう。基本的に転院は最後の手段です。
これで高価なインプラント治療も安心、おすすめのWebデンタルローン
それでは、ここでインプラント治療におすすめの歯科治療専用ローンを2つばかりご紹介しましょう。どちらも来店不要、自宅に居ながらにして申し込みから契約までが完了するウェイブデンタルローンです。
と、その前に一つ、いくら歯科治療費専用の目的ローンとは言え、デンタルローンはあくまでもお金を貸し付けるローン商品です。そのため、審査があって、最低の申込基準のようなものが設定されています。まず、年齢は概ね満20歳から65歳。一部、満18歳以上というところもあれば、満70歳までというところもありますが、よくよく見ると、満71歳の誕生日前日までに完済する事なんていう条件が付帯しているところもあるので要注意です。また、未成年でもOKだが、学生はNGという事も多く、基本的に満20歳以上65歳までの社会人が対象であると思っておいた方が無難でしょう。
そして、有職者で、安定した年収を得ている事も必要不可欠な条件です。ただ、雇用形態については、信販会社やローン会社の場合、正社員に強く拘らない傾向が見られます。例えば、イオン銀行のデンタルローンは正社員や自営業でないと申込みすら受け付けてもらえませんが、同じグループ内の金融会社でも「イオンプロダクトファイナンス」の方は、パート・アルバイト・契約社員でも申込可能。さらに、会社によっては、主婦でも連帯保証人を立てる事で申し込めるところもあります。
因みに、イオンプロダクトファイナンスの出すWebデンタルローンは、申し込み当日に契約内容確認メールの送信まで到達するスピード対応。立替払方式なので、HPに記載されている提携医院でしか利用出来ませんが、実質年率3.9%という驚きの低金利デンタルローンです。
実を言うと、オリコやジャックス、セディナ、そして、このイオンのWebデンタルローンのような立替払方式の金融商品は、正式にはデンタルクレジットと呼び、その名の通り、クレジットカードと同じシステムです。お客に代わって買い物の代金をカード会社やローン会社が支払い、それを分割で返済してもらう。そして、その際に手数料を頂戴するというビジネスですから、正しくは金利ではなく分割払手数料になる訳ですが、それでこの3.9%というのは破格の数字でしょう。恐らく業界最高水準の低さです。
しかも、安心の固定金利。返済期間も最長7年、84回までの分割が可能で、ボーナス払いも組み込めます。限度額も500万円以内と、インプラントどころか、歯列矯正でも十分な内容のデンタルローンです。という事で、自宅や職場の近郊に提携歯科医院があるのであれば、転院も検討する価値ありかと思われます。
しかしながら、やはりイオンプロダクトの加盟歯科医院も、東京都内には50軒以上あるものの、千葉になると4軒です。しかも、そのうち3軒までが同じ系列の歯科医院。もちろん、皆無の県もあって、今後少しずつ増えるものとは思われますが、現状、まだまだ使いたくても使えない人の少なくないデンタルローンです。それを考えた時、少々審査や申込条件は厳しくても、金利も含め、やっぱり銀行ローンというのは安心で且つ、便利です。
中でもスルガ銀行のデンタルローンは、実質年率2.5%~7.5%と低く、パート・アルバイト・年金受給者でも申し込みを受け付けてもらえます。もちろん、審査に通るかどうかは収入や勤続年数によって決まるものですが、多の銀行のように、端から正社員でないと駄目なんて冷たい事は言いません。また、日本全国どこに住んでいてもお構いなしで、スルガ銀行に口座を持っていないお客さんも大歓迎です。
さらに、自分に万一の事があった場合には、住宅ローンよろしく、保険で残高が完済される団体信用生命保険付。やはりこちらも全てインターネットで手続きが完了するWebデンタルローンで、内容も充実したおすすめのローンです。
デンタルローンを使ってインプラントすると医療費控除が受けられる
インプラントや義歯のような歯科治療でもデンタルローンは利用出来、その価値や選択肢もいろいろあるという事はお分かりいただけたのではないかと思います。そこで最後にもう一つ、デンタルローンを利用して歯科の診療を受ける大きなメリットをご紹介しましょう。
そもそもインプラントや義歯が必要になるという事は、それ以前に虫歯や歯周病などの疾患があったからにほかなりません。つまり、病気をして、その治療としてインプラントや入れ歯の挿入をする訳です。という事で、これは立派な医療。即ち、医療費控除の対象となります。
ただし、控除を受けるには、いくつかの条件があります。まず、最も重要なのが年間に使った医療費の総額。税込年収が300万円以上になると、10万円を超えなければ還付対象にはなりません。そのため、保険診療の範囲のみの治療では、中々到達しないという人も多いでしょう。
ですが、自由診療になると桁が違います。例えば、インプラントで40万円かかった場合、そこから10万円を差し引いた30万円が医療費控除対象です。医療費控除額は納税額や他に還付対象となる住宅ローン減税などを受けているかどうかで代わって来ますが、仮に年収350万円の人が先のようなインプラント治療で40万円の医療費を支払った場合、所得税が1万円還付され、住民税が2万円減税されるというような事が有り得ます。
そして、これはデンタルローンを使ったとしても変わりありません。確かにローンを組んで歯科治療費用を支払う場合、月々の支払い金額が6,000円となっていれば、年間に払う額は7万2,000円です。しかしながら、何回払いだの、ボーナス払い有りだの無しだのといった契約内容は全て、融資元である金融会社や金融機関とお客の間での話。医療機関には、患者が診療費を一括で支払った形になります。もちろん、立替払方式でも、振り込まれたお金を自分で支払う方式でもです。
ただし、医療費控除は通常の年末調整では適用されません。自営業の人たちと一緒に、確定申告の期間内に自分で申告しなければならないのです。そして、その通知や案内はどこからも送られて来ませんから、正しくやったもん勝ち、知らなきゃ損の世界です。
さらに、40万円の歯科治療費を実質年率4.5%で借入れし、84回の分割払で返済する場合、6万6,998円の分割手数料、もしくは金利が掛かり、総額46万6,998円のお支払いとなります。しかし、この手数料や利息は医療費控除対象外です。あくまでも実際の診療に要した費用分だけが控除の対象となります。
そして何より、医療費控除は支払った税金から還付を受けるもの。元々納税額が少なければ、控除額も少なくなりますので、あしからず。