歯科治療費専門のデンタルローンは親名義でも組める


消費者金融や銀行カードローンは原則として、自分以外の名義では借り入れ出来ません。原則としてというのは、金融会社や銀行がそのような規定を設けているからで、現実には利用しようと思えば利用出来なくはないからです。

特に親や夫、あるいは娘や息子の扶養家族になっている場合、親名義や夫名義、子供名義で申し込みする事はさほど難しくなさそうです。何しろ、健康保険証に住民税の課税証明書という直接顔や勤務先の確認出来ない証明書類を用いればいいだけなのですから。

確かに、最近はカードローンやキャッシングを申込みする際、顔写真の添付されていない本人確認書類を使うには補助書類を求められる事が多くなりました。しかし、住民票さえ準備出来れば問題なし。住民票も課税証明書も、家族なら代理人として堂々と役所で請求申請出来ます。また、勤務先への在籍確認を回避出来る銀行カードローンもあって、実際に実験済みという人も少なからずいそうです。

ただし、たとえ親子間や夫婦間であっても、人の名前で何かをする事は明らかななりすまし行為で、犯罪です。家族や知人、あるいは赤の他人のふりをして金融会社や金融機関をだます訳ですから、詐欺になります。無断で名義を拝借するのはもちろんの事、たとえ双方が同意のもとでも駄目なものは駄目。さらに、同意のもとならなおのこと重罪で、名前を貸した方も共犯です。罪に問われます。

これは使途自由なフリーローンだけではなく、用途を定めて借りいれする目的ローンでも同様です。特に住宅ローンなどは、その家に住む人がローンを組む事と定められています。また、住宅や土地の場合、このルールをきちんと守っていないと、契約者が死亡した際、今後のローン返済の事や相続だの、贈与だのと税金の面で様々な不利益が生じる可能性が高いのです。

とは言え、目的型ローンの場合は、100%この限りではありません。やはり自動車ローンなども、その車の使用者が申込み、審査を受け、通ったら正式契約し、借入れし、返済するというのが通常ではあります。

しかしながら、学生やフリーターを中心に、親の名義でローンを組んで車を買う人は少なくないでしょう。さらに、子供を進学させたり留学させるために自分名義で教育ローンを組む親御さんも大勢います。恐らく、前者は親に頼んでローンを組んでもらう形、後者は親が頼まれなくてもローンを組む形ですが、いずれにせよ、借りたお金の恩恵をフルに被っているのは子供です。

そして、歯科治療費専門の『デンタルローン』もまた、親名義で契約する事が可能な目的別ローンの一つです。そこで今回は、そもそもなぜ、デンタルローンは親名義で組む事が可能なのか? どういう場合に親名義を選択するのか? 親名義で手続きするにはどうすればいいのか? 全てのデンタルローンが親名義で契約出来るのか?といった事を調べてみたいと思います。

デンタルローンが親名義で組めるのは医療ローンの一種だから


日本は健康保険や高額療養費制度、医療費控除などがあり、世界でも有数の充実医療国です。そこで、健康保険さえ使えば、医療機関への支払いも自己負担分の3割を納めればいい事になっています。

ただ、保険が使える治療や薬品は細かく制限されていて、なんでもかんでもOKという訳ではありません。たとえ大学病院への支払いでも、美容整形はもちろん、不妊治療やレーシック手術など、直接生命維持に関わらないような治療は適用外です。

さらに、直接生命維持に関わるがん治療でも、高価な医薬品の使用や先進医療の費用は全て対象外。全額自費診療となっています。けれど、もし、命が助かるのなら、いくらお金はかかってもいい。何とか治療を受けさせたいというのが家族の心情でしょう。

また、目が悪い事や鼻が低い事、そして、赤ちゃんが出来ない事など、赤の他人から見ればどうという事はないかも知れませんが、本人や家族にとっては重大問題。人によってはそれが大きなコンプレックスやプレッシャーとなり、精神的健康に支障を来す事は大いにあり得ます。

そこで、その抑圧から解放されるために、レーシックや美容整形、不妊治療を受ける人も大勢いる訳です。確かに、医療の力で改善され、心の負担が取り除かれるのであれば、それはそれで素晴らしい事ではありませんか。

しかしながら、それには多額の治療費がかかります。そのため、まとまったお金がなく、我慢している人、泣く泣く命を落とす人もまた大勢います。

という事で、医療ローンはこのような保険対象外となる医療費全般をフォローするためのローン商品です。大きな病院で受ける先進医療だけでなく、個人の歯科や眼科など、小さな医院やクリニックに支払う治療費用でも利用出来ます。一般的に、フリーローンより金利は低め、上限額は高めに設定されている傾向も見られます。

また、信販会社やローン会社、あるいはカード会社など民間の金融会社が出すローンは通常、年収の3分の1を超す貸し付けはしないという総量規制が適用されますが、医療ローンは原則として除外です。今、そのお金がなければ命が助からないとなると、ある程度柔軟に対応する事が必要だという見解になっているのです。

ただし、そもそも医療ローンというのはその名の通り、医療機関で受ける治療の費用を用立てる金融商品です。信販会社やローン会社、金融機関によっては「メディカルローン」や「メディカルクレジット」と呼ばれる事もありますが、いずれの場合も申し込みに際しては、診断書や詳細な治療計画と治療費用を示した見積書等が必須となります。

とは言っても、歯科治療はれっきとした医療行為です。その証拠に、虫歯治療や歯周病治療、入れ歯やブリッジ治療だって健康保険が使えます。まあもっとも、虫歯治療でも被せ物の種類によっては保険対象外。入れ歯やブリッジも保険が利く素材は限られていて、歯列矯正やインプラントは100%自由診療です。

ただ、矯正治療やインプラント治療は医療費控除の対象になっています。ですので、たとえ矯正歯科で受ける歯列矯正でも、医療ローンの利用目的としては問題なしです。とは言え、いくら医療ローンでもローンはローンです。融資を受ければ即、返済義務が生じます。早ければ翌月から、遅くても2ヶ月後くらいにはローン返済が始まる訳です。

今、大病と闘っている人や不妊治療の末にようやく新しい命を授かった人に、その支払いが可能なのかと言えば、かなり微妙。現実問題として難しいケースが多いでしょう。さらに、残念ながら治療のかいなくという結果に終わる可能性も秘めています。

という事で、医療ローンは患者本人に代わって、健康で安定した収入のある親兄弟や配偶者が契約する事が可能なローン商品となっています。それどころか、患者が直接申込者になるのではなく、親兄弟や配偶者が申込者になる事で審査に通る事が多々あるのです。

そして、『デンタルローン』は、先のような歯科医院や矯正歯科の治療費に特化したローン商品です。となると、医療費をまかなう目的ローンという事で、医療ローンに該当します。従って、親名義や配偶者名義で組む事が出来るという訳です。

デンタルローンを親名義で組む方がいい人ってどんな人?


『デンタルローン』が親や配偶者の名義で組めるのは、単純に目的を定めた個人向けローンだからという訳ではありません。医療ローンの一種に位置付けられ、一人でも多くの人の心身を救いたいという思想を持っているからです。

そのため、金利や限度額の面で優遇されている一方、申し込み条件や審査が厳しかったり、手続きが面倒だったりというデメリットも持っています。さらに、ローンである限り、やはり返済ありきである事は確かで、そういう点からも、親名義や夫名義で組めるのです。

ただし、がん治療などを対象とした医療ローンと、歯科治療費だけを対象としたデンタルローンとでは、いささか様子が違って来ます。事実、大手信販会社では、メディカルクレジットの金利が8.5%なのに対し、デンタルローンは実質年率4.5%の固定金利となっているではありませんか。これは何を意味しているかと言えば、ズバリ、返済リスクの差です。

実際、家族が大病を患うと、その看病や介護に追われ、仕事をセーブしなければならない人は大勢います。そうなれば、収入が激減したり、途絶える事もある訳です。

しかし、歯の治療は患者自身、日常生活や仕事にさほど大きな支障を来すものではありません。確かに歯科矯正は長くなれば3年以上という長期にわたるものですが、その間、普通に学校や会社に通い、その合間に通院するというのがオーソドックスなパターンでしょう。

たとえ子供が歯の矯正をしていても、親は十分働けます。よって、負債のリスクが低いところから、メディカルローンの中でも特に低金利なのです。ですので、子供の矯正治療においては、大いに利用する価値ありです。歯科医院の窓口で支払いする必要がなく、学校帰りにでも安心して通院させられます。

ただし、患者自身が元気で働けるとなると、成人の場合、本人が申込者となり、融資を受け、責任を持って返済するのが通りです。という事で、元々デンタルローンはそういう金融商品となっています。早い話、自分で借りて、自分で返せという事です。親としても、声を大にしてそう言いたいでしょう。

ですが、返済能力のある人を対象にした低金利ローンがゆえに、審査が厳しいという特徴を持っています。しかも、直接生命を左右するお金でもありませんから、契約者の収入と月々の返済額のバランスもしっかり考慮されます。そこで、総量規制の対象にはなっていなくても、融資額の上限を年収の3分の1と定めているところは少なくないのです。

となると、100万円近くになると言われる矯正の費用を借りいれするには、その3倍、300万円の年収がなければならない事になります。サラリーマンやOLなら問題ないかも知れませんが、学生や主婦はもちろん、ボーナスの出ないパートやアルバイトで生計を立てているフリーターにも中々厳しい数字です。

また、すでに消費者金融や銀行のカードローン、あるいはクレジットカードのキャッシングなどを利用していて、もっか借金返済中という人は要注意。それら既存の借入残高も含めて年収の3分の1とされます。そのため、年収400万でも審査落ちする事もあり得るのです。

加えてもう一つ、ローン審査においては必ず個人信用情報機関に登録されている個人信用情報が調べられます。そして、過去に債務整理をしたり、クレジットカードの支払いを延滞したなどの記録があれば、いくら高額所得者でもNGです。

さらに、無職では無収入という事で問題外。総量規制があろうがなかろうが申し込みを受け付けてもらえません。また、多くのデンタルローンが満20歳以上となっていますから、未成年も同様です。という事で、こうした審査に通らない可能性が強い人の場合は、親名義や配偶者名義でローンを組む方向で検討する方が利口でしょう。

自分は本当に親名義でデンタルローンを組まないといけない人?


多くのデンタルローンの申し込み条件が、満20歳以上で安定かつ継続した収入のある人となっています。よって、未成年の場合は、それだけで審査基準を満たしていない事になり、本人名義で契約する事が出来ません。端から親名義で手続きするしかないでしょう。また、学生も申し込み不可としているところは少なくなく、その場合も同様です。

しかしながら、フリーターや主婦となると、絶対駄目という訳ではありません。たとえフリーターや主婦でも、バイトやパートを持っていれば収入はある訳です。ただ、その収入が少ないために審査に通りにくいというだけですから、借入れ希望額によってはOKになる可能性も十分あります。

特にインプラントなどは、1本30万から50万というレベルですから、その3倍、すなわち、100万から150万程度の年収があれば何とかなりそうです。また、高いと思われがちの歯の矯正も、部分的な治療ならそれほどでもありません。50万円以内に収まる事が多く、やはりフリーターや主婦でもデンタルローンが組める金額です。

さらに、過去に債務整理をしたり、多額の負債が焦げ付き状態で残っている人など、いわゆるブラックと呼ばれる人でも審査に通る事があります。なぜなら、こうした金融事故の情報は、一定期間が過ぎると時効となり、信用情報機関から末梢されてしまうからです。

ただ、その一方で、カードの支払いを延滞してしまったりすると、たちまち事故発生。赤信号が点ります。以後、再びきちんと支払いをしていれば、やはり末梢されますが、すぐにという訳には行きません。そのため、たまたまその間に申し込みをしてしまうと審査落ちしてしまうという訳です。

ならば、信用情報はどのくらいで回復するのかというと、債務整理や焦げ付きのような大事故の場合は5年から10年。ただ一度の延滞というような小さな事故の場合は半年から1年といったところでしょうか。流石に前者は辛いですが、後者なら、焦らずしばし様子を見るべきだと思われます。

A社の審査に落ちたからB社のローンという形で、すぐに別の金融会社や金融機関のデンタルローンを申し込んでも、恐らく結果は同じ。それどころか、短期間に複数のローン審査を受ける事は自分が問題をかかえる要注意人物である事をアピールするようなもので、より一層事態を悪化させます。

という事で、所得に難点がある場合でも、必要な治療費がさほど高額でなければ通る可能性は十分ある訳です。また、信用情報に問題があっても、回復すればなんなく通過という事もあり得ます。さらに、保証人をたてればOKという事もありますので、社会人として働いている場合は、まずは本当に自分名義でデンタルローンがくめないのかどうかをチェックしてみる事が大切でしょう。

今は複数のローン会社のデンタルローンが、ネットで事前審査可能となっています。職業や年収、借入れ希望額など、いくつかの質問に答えるだけで、審査に通る見込みがあるかないかが短時間に分かります。もし、そこで良い通知が得られなければ、親名義や配偶者名義を検討すればいいのです。

親名義で組むデンタルローンの契約の流れと返済の形式


デンタルローンは、医療ローンなどといういかにも堅苦しそうなローンの一種ですが、申し込みから返済までの流れは消費者金融のカードローンや銀行のマイカーローンなどと殆ど変わりません。

今はインプラントや矯正など、高価な自由診療の治療を促進するためにも、多くの歯科医院が信販会社やローン会社、あるいはカード会社と提携し、利用出来るようにしています。恐らく、歯医者さんの窓口で分割払いの話が出れば、八割方デンタルローンを示していると思っていいでしょう。

また、特定のデンタルローンを取り扱っていない医療機関のために、どこでも使えるものを銀行や信用金庫など、各金融機関が目的ローンという位置付けで出しています。さらに、信販会社やローン会社はもちろん、銀行でもネットで申し込みが出来、来店不要というところも珍しくなくなりました。

そして、その大半が商品の性質上、親名義や配偶者名義で契約出来ます。しかも、銀行や信金の場合、すでに住宅ローンを組んでいて、きちんと返済していれば、審査や金利の面で優遇される事もしばしばです。なので、親名義や配偶者名義で組むのであれば、検討してみる価値大でしょう。

ただし、親名義でデンタルローンを組む場合、必要書類や返済の形式がいささかややこしくなるので要注意。当然ですが、提出する本人確認書類や収入証明書は、契約者となる親のものです。在籍確認の電話も、親の職場に入ります。ですが、歯科医が発行する見積書は、実際に治療を受ける患者のものを出す必要があり、混乱しないように気を付けなければなりません。

さらに、ローン審査を受けるのも親という事で、もし、親の収入面や信用情報に問題があれば、通らない可能性もある訳です。特に既存の負債との兼ね合いが大きなポイントで、先のように住宅ローンが優位に作用する反面、足を引っ張る可能性もなくはないと言うことも覚悟しておく必要があるでしょう。

また、あくまでも親が借りたお金ですから、親が返す事になります。もし、自分自身が返済したいというのであれば、直接親に手渡すなり、親の口座に振り込むなりしなければなりません。これらは、全て、配偶者名義で手続きする時も同様です。

という事で、どうしても大々的な歯の矯正治療がしたい。でも、自分は未成年で、学生で、審査基準を満たしていない。あるいは、デンタルローンの申し込みをしたが、審査に落ちてしまい、当分収入が増える予定がないとか、信用情報が回復する見込みがないという場合は、親名義でローンを組むよりないでしょう。前者はしかたがないですが、後者は親も子も辛いものです。

けれど、デンタルローンの返済期間は、無理のない返済方法を選択すると、必ずと言っていいほど長期になります。短くても3年、長ければ10年。平均で5年から7年と言ったところでしょうか。事実、多くのデンタルローンが、最長返済回数5年60回から7年84回となっています。そして、それを目一杯使う人が圧倒的多数です。

という事は、歯の治療期間よりも長く、その間に未成年の人は成人になり、学生の人は社会人になる訳です。出来るだけ頑張って働き、しっかり親に返済して行きたいものですね。